2014年8月5日火曜日

プレ・サマープログラムで出会った気仙沼。 ~インタビュー編~

こんにちは!KESENNUMAチームの兼子です。

前回に引き続き、気仙沼でのプレ・ワークショップについてお話したいと思います。

いよいよ午後のプログラム、今回のメインイベントとも言える、男山本店へのインタビューです。
ワークショップ会場からみんなで連れ立って歩いていきます。
じりじりと照り付ける日差しの中、制服のスカートの長さの話(懐かしい!)や部活のことを聞きながら10分ほど歩くと、いよいよ酒蔵が見えてきました。




一同並んでお待ちしていると、今回男山本店について語ってくださる菅原さんが出てきて下さいました。

お話を聞く準備万端!午前中に用意した質問とノートをびっちり用意して、まずは外で男山本店の歴史などのお話を伺います。


男山本店の歴史やお酒の造り方について学んだところで、いよいよ酒蔵へ。


真夏なのにひんやりした心地の良い酒蔵で、みんなもほっと一息。
重厚、伝統、歴史、そんな言葉を感じさせる酒蔵の空気感にわくわくも高まります。


そして酒蔵を一周したところで菅原さんへの質問タイムです。
いよいよ午前中に行った、インタビュー準備の成果の見せ所。初めは少し緊張しながらも、親切に丁寧にお話して下さる菅原さんのお陰で、高校生も聞きたかった質問を菅原さんにぶつけることができました。

インタビューの成果を、かいつまんでご報告致します。



まずは、目にする機会は多いけれど、今まで知らなかった甘酒の効果のお話。

酒粕はブドウ糖が豊富なため、夏バテ防止や疲労回復に役立つということは昔から知られていました。昔の人達は栄養補給という意味で甘酒を飲むこともあったそうです。
さらにこのことが文化的な意味合いも含み、甘酒は夏の季語として知られるようになりました。

俳句に「甘酒」と出てきたら、それは夏を示す季語なのですね。

それにしても甘酒って、「酒」とついているからには少しはお酒なんだろうな、と勘違いしていた頃がいつだったかありました。
ほんとはお酒を飲んじゃ駄目なのに、甘酒はちょっとのお酒だし、お祝いのものだから良いんだ! と何故か大人になった気分で甘酒を飲んでいたのも、やはり勘違い。とはいえ素敵な楽しい思い出です。


話が反れましたが、今度は「作る人とお酒の関係性」のお話。こちらも興味深いものでした。

優しいけれども思い切りの良い杜氏さんが作るお酒は、柔らかではあれど、すかっとしたキレの良い味になる。
迷ったお酒には迷いが出る。もたつきが味に出る。

不思議なことですよね。私が杜氏になったら、一体どんなお酒になるんだろう?そんな疑問を私だけでなく、高校生たちも考えたりしたのではないでしょうか。
お酒が人に与える影響は身近で日常的なものです。酔っぱらって陽気になったり、人と仲良くなったり。でも、その逆も存在していて、人がお酒に与える影響だってあるのですね。
人間とお酒の、ダイレクトな繋がりと互いに影響しあう力を感じるお話でした。



そして今回、高校生が印象に残ったと言っていた言葉、"マリアージュ"について。
日本酒に合うおつまみは?という高校生の質問より。



男山の日本酒に一番合うお酒はカツオ。カツオのアミノ酸に、男山のお酒のアミノ酸がよく合うのだそうです。
お酒はも食べ物もアミノ酸を持っていて、互いのアミノ酸に対する相性の良さに応じた言葉が」あるのだそうです。

かちっとどちらも合う、相性の良い最適な状態を「マリアージュ」
何となく合いそうだけど合わない状態は「パラレル」
どちらかのアミノ酸が負けてしまう、相性の悪い状態は「反発」
と呼びます。

食べ物と飲み物の相性というのも非常に大切で、
食べ物とお酒がどちらも良いところを引き出しあう、マリアージュという状態に出会うと、ああ生きてて良かった!というくらい幸せな気持ちになります。


フランス語「結婚(mariage)」から来たのがこの「マリアージュ」という表現です。
食と飲み物の結婚!音の響きもさることながら、意味合いもとても素敵ですね。
お互いのいいところを引き出し合う組み合わせ。
この言葉も今後、大切なヒントになってきそうです。


そして、気仙沼の人々にとって男山とはどんな存在なのか、これも是非深めたい一点でした。
菅原さんの言葉をお伝え致します。

「我々は地域と一つになりたいと常々感じております。やはり象徴的だった出来事は、震災の時のことです。震災が起こった直後、津波の被害も非常も大きい中であったのに、本当に沢山の地元の方に支えて頂いたことが忘れられません。

日本酒を絞り出すのに必要な大型の発電機を貸してくれる方がいて、
それをわざわざ運んでくれる人達がいて、
さらにこの酒蔵に配線してくれる人がいて、
二日間分の燃料を提供してくれる方がいて、

本当に地元の方に応援されていることを実感しました。

ただ、それでも震災直後に酒造りを再開することに躊躇はありました。
周りは瓦礫だらけで被災された方もいる中で、本当に良いのだろうか。その迷いはありました。
しかしそれでも物凄く背中を押してくれる方が沢山いて、やりましょうという話になったのです。


やはりこの経験は本当に大きくて、 感動的な経験でした。私自身、お酒が絞れた瞬間は泣いてしまいました。

今までももちろん地域との関係をある程度意識はしていましたが
被災後の経験の中で、やはり『地域との関係』を本気で考えるようになりました。
地域との日頃の関係作りがいかに大事か、身に染みて実感しました。」



このことに関連して、「お酒とコミュニケーション」という視点も大切なポイントとなったのではないでしょうか。

特別な時だけでなく常日頃から、

酒屋と地域との関係づくり
地元の人どうしの関係づくり
地域と地域の関係づくり。

色々な「関係作り」を昔からずっと続けてきた、それが男山本店なのですね。

気仙沼への思いをお聞きしたところ、

気仙沼には素晴らしい自然や食べ物が沢山ある。
その中の一員として、気仙沼を盛り上げたい、という思いも語ってくださいました。
「何よりそこにやりがいを感じる」という力強い言葉も、聞いている私達の心に刺さる一言でした。

そしてさらに、

気仙沼の自然や食や水、様々な良いところを活かしてやっていきたい。
コミュニケーションのハブとなって、外と内、人と人、地域と地域をつなぎたい。
海外へも、気仙沼の食と一緒に出ていきたい。

溢れるほどの「気仙沼」という地元への思いをお聞きすることができました。


沢山の地元への思いをお聞きする中で、高校生の地元への意識も少し、変わったかもしれません。


そして最後に、高校生へのメッセージを伺いました。

「これからまだまだ育っていく高校生には、
気仙沼の良さを是非分かってもらいたい。
まだまだ、楽しいことが溢れている素敵な町です。
とにかく故郷を愛し続けられるような人になってほしい。」





男山本店菅原さん、長い時間本当にありがとうございました!!
最後はみんなで記念写真です。



そしてここから、学んだことを元にワークショップに戻ります。
ワークショップについてはまた次回、お送り致します。

いよいよ銀座でおもてなしも明日は二日目!こちらのレポートもお送りしていきますので、どうぞお楽しみにしていて下さい。




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